台湾のグラフィティアート体験 高雄の彩虹眷村

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製作当時、作者は80歳代半ばだったとは思えない彩虹眷村はパワー全開!(写真提供:台湾観光局)

香港出身の退役軍人である黃永阜さんが、蒋介石率いる国民党を支持していたため、戦後に国民党と共に台湾に来て永住、2008年のある日、村をペンキで色とりどりに描くことを思いつきました。描き始めた時、黃さんは既に80代半ばを超えていたとか。動機はご本人曰く、退屈だったから、だそうです。

それ以前の村はというと、黃さんのような退役軍人である高齢者が主な住人で、元々彼らの住居として仮に建てられた物件が多く、それらが老朽化して荒れていました。「眷村(けんそん)」はそもそも、国民党と共に移住した外省人たちに住居を提供するために作られ、台湾各地に残ります。若者は、荒廃していた当時の彩虹眷村を嫌気して寄り付かなくなり、村は建て替えや再開発の対象となっていました。
そんなある日、黃さんは、自宅に絵を描き始めたのです。その後、決まったテーマなどあるようなないようなで無心に絵を描き続け、遂にはブロック全体におよびました。
鮮やかな色使いの作風は、一見、オーストラリアのアボリジニアートに通じるような、原始的な印象です。時に人間だったり、パンダだったり水牛だったり、鳥だったり、ロシアのマトリョーシカを彷彿とさせたりと、強烈な個性を発散して見る者の想像力を刺激します。中国語とおぼしきメッセージもあちこちに見られます。
今や台中で有数の観光スポットとなった村ですが、一時は再開発計画により取り壊される寸前でした。村は現在、高い建物に囲まれ、一画だけ取り残されたような趣です。そんななか、再開発計画に対して村の存続を訴える人たちがインターネット上で保存をよびかけ、多くの署名が集まりました。そして2010年に、台中市長が彩虹眷村を文化公園として保存すると表明するに至りました。
こうして、今や村へは世界中から観光客が多く訪れています。台湾の人気アイドルグループF4の周渝民さん主演の映画「愛你一萬年」のロケ地としても知られています。
彩虹眷村は、お年寄りが多く暮らす住宅街です。訪れる際は住民に配慮して、マナーを守りたいですね。朝早くや夜遅い訪問は遠慮した方がよさそうです。

製作当時、作者は80歳代半ばだったとは思えない彩虹眷村はパワー全開!(写真提供:台湾観光局)

製作当時、作者は80歳代半ばだったとは思えない彩虹眷村はパワー全開!(写真提供:台湾観光局)

彩虹眷村
台中市南屯区春安路56巷


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